かげきにいこう!

 斉木久美子「かげきしょうじょ!!」は、もともとは集英社ジャンプ改で「かげきしょうじょ!」として連載していた作品。それがジャンプ改の休刊(2014年11月号が最終号)で白泉社のメロディに移籍して、感嘆符が一つ増えて連載されるようになったいきさつがある。
 かげきといっても「過激」ではない。いや、もしかすると作者の意図としてはそれを匂わせているのかもしれないが、ストレートに通じているのは「歌劇」だ。歌劇で少女、そう、それは明らかに宝塚歌劇団をモデルにした、神戸にある歌劇団(作中では紅華歌劇団となっている)の専属養成校、紅華歌劇音楽学校を舞台にしている、「かげきしょうじょ!!」は、そこに集う少女たちが繰り広げるドラマが描かれる作品だ。

 そして先月、コミックスの第1巻が発売された。

かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめCOMICS)

かげきしょうじょ!! 1 (花とゆめCOMICS)

 ……という文章を書くつもりでいたら、ねとらぼで虚構新聞社主UK氏がすっきりとレビューにまとめられているのに気づいてしまった。

nlab.itmedia.co.jp


 細かいストーリーについてはこちらのレビューが参考になると思う。


 紅華歌劇団――メロディでの掲載第1話の冒頭では、このように紹介されている。

大正時代に創設され、未婚の女性だけで構成された歌劇団

 そして引き続き、物語についてはこう説明されている。

この物語は、そこに入団する人材を育成する音楽学校の創立100年目に入学した、二人の奇才とその仲間たちの青春を描くものです。

 そんな物語は、作者によれば集英社版を知らずとも白泉社メロディ版を楽しめるようになっていると言う。確かにその通りで、自分もメロディで掲載されるようになってから読み始めた口だが、冒頭の説明と簡単な人物紹介、そして何よりも物語の運び方ですんなりと読み進めることができた。

 雑誌掲載時に印象に残ったのは、新生コミックス1巻の第2幕、あの大戦の時代の歌劇団の回想とそれを踏まえての現在を語るさりげない1シーン。「白薔薇のプリンス」たちの半生を思い浮かばされるような重みが実にさりげなく描かれている。

 そして白泉社メロディ版だけでも楽しめると作者は言っているが、ダブル・ヒロインの一人、「奈良っち」の過去が描かれる集英社版の第2巻は必見! 長く店頭在庫もなくなり印刷物としては入手しづらい状況が続いていたものの、このたび再版がかかったとのこと。入学式当時の初々しいエピソードが収録されている第1巻ととあわせて是非ともフォローしておきたいところ。

かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)

かげきしょうじょ! 1 (ヤングジャンプコミックス)

かげきしょうじょ! 2 (ヤングジャンプコミックス)

かげきしょうじょ! 2 (ヤングジャンプコミックス)


 そして物語はもう一人ヒロインの類希なる才能の片鱗が示唆されるところに進んできているが、いよいよその過去が、これまで何度となくほのめかされていた梨園との関係が語られようとしてきている。
 いや、まだまだヒロインたちには才能はあれども、問題点も突きつけられてきている。卒業、そしてデビューまでの道はまだ長い。連載の方も続きが待ち遠しい。

Melody(メロディ) 2016年 02 月号 [雑誌]

Melody(メロディ) 2016年 02 月号 [雑誌]






余談。

 集英社版、探し回ったんですよ。隣県まで探し求めて行きましたもの。