夜のプレイリスト

 NHK-FM 深夜の番組、夜のプレイリスト。

~私の人生と共に在った5枚のアルバム~

 をとりあげ全曲演奏することも多いこの番組、先週のゲストは土屋昌巳だった。
 彼が選んだアルバムは、ボウイやキング・クリムゾンビートルズ……そうそうたるタイトルが並んでいる。



 さて、自分がもし今、5枚のアルバムを選ぶとしたら。



近田春夫&ハルヲフォン / 電撃的東京

電撃的東京

電撃的東京

 近田春夫の音楽って、もっと評価されても良いと思うのだけども……。このアルバムはたしか78年。GSや歌謡曲がここまでの変身を遂げるのはまさしく衝撃。
 当時、仕事が忙しくなり、グループ3枚目のアルバムを作るのにあまり時間が取れなかったので、ドラムとベースのパターンを8ビートに固定して、細かいところまで譜面で指示してレコーディングに臨んだらしいが、結果的にそれが生み出したトータル感はすごい出来だ。ぶんぶん響くベース、超絶ギター、タイトなドラム、どれをとってもピカイチだ。

Yellow Magic Orchestra / Solid State Survivor

 79年発売、YMOセカンド・アルバム。
 収録曲にはメガヒット「Technopolis」と「Rydeen」があるが、その2曲に挟まれた「Absolute Ego Dance」だって佳曲だし、自分的にはB面の流れが最高だ。
 ゲスト・ギターの椎名誠が実に良い仕事をしている「Day Tripper」と「Solid State Survivor」はエレクトリック・バンドなスタイルでのライブでも映えていた。トリッキーなリズムの前者は、DEVOの「Satisfaction」を意識したものらしい。後者のパーカッシブなエフェクトのような音は、ヴォコーダーに声以外のソースを入れて作ったという記事を見たような記憶もある。

 しかし平成生まれにはこのタイトル、もしかしたら意味不明かもしれない。辞書を引けば載っているが、Solid State とはトランジスタ化された、という意味。70年代も前半くらいまでは、ラジオやテレビは真空管を使っていたものがまだ出ていたはず。それがトランジスタ化されたということをうたったのが「Solid State」。たしか当時のSONYのカラーテレビの前面にもこんな表記がロゴみたいについていたはずだ。

Moonriders / Animal Index

ANIMAL INDEX / HQCD ムーンライダーズ

ANIMAL INDEX / HQCD ムーンライダーズ

 ムーンライダーズはキャリアが長いバンドなので、あれこれと悩んだが、これを選んだ。
 このアルバムは、メンバー各自が「シングルのA面とB面にする曲」を持ち寄って、それを再配置した、というもの。持ち寄った曲は各自がトラック製作し、そこに鈴木慶一も立ち会う形でレコーディングしている。作業の多くは河口湖スタジオで進められ、戸外に設置したドラムセットの音をサンプリングしてリズム・トラックに用いた曲もあるはず。
 タコ八郎をイメージした1曲目から、キャッチーな2曲目への流れもさすがだが、B面の仕上がりは恐ろしいほどに高い。 

冨田勲 / 惑星

惑星

惑星

 アナログ機材時代のトミタ・サウンドの極北だろう。
 管制塔との交信からロケットの打ち上げへとつながり、火星、金星、水星と、曲ごとに異なる色合いをこれでもかと繰り広げてみせる。
 何重にもさらに何重にもオシレーターの音を重ねて組み上げたストリングス、フォルマントを変化させて作ったあでやかなヴォイス、一度スピーカーで鳴らした音をまたマイクで録音して加工することで出来る手の込んだハープ、細かく複雑なフレーズは、一度に12ステップとか16ステップとか、限られた音数しかセットできないアナログ・シーケンサーを何度も何度も動かして組み上げたものだ。
 そして木星から始まるB面は大胆な編曲・編集を加え、宇宙の旅の顛末を見事に描ききったまさに大作。


ワルキューレ / ワルキューレ・アタック

Walkure Attack!(通常盤)

Walkure Attack!(通常盤)

 このエントリー、1枚目、2枚目のアルバムはすぐに決められた。3枚目も悩みはしたが、それでも決めることができた。
 残り2枚はけっこうあれこれと悩んだ。そしてやはり冨田勲は欠くことができないということで1枚を選んだ。そして最後の1枚をどうするか。
 まあ、やはり、最近に至って大きな衝撃となったということで、ワルキューレという結論に達した。
 これまでにも何度かエントリで取り上げたから、もう繰り返す必要ないかもしれない。

 それとも、年明け、2月の新しい動きでまた何か突き動かされることになるのかもしれない。

 いずれにせよ、2017年の冬、選んだ5枚はこんな感じだ。



 さて、実は土屋昌巳のセレクションは、夕方のリピート放送で今週また聴くことが出来る。実は何度か聞き逃してしまっているので、そこで補完したいと考えて……は、いる。
 なにせとても興味深いセレクトだから。