かげきにかぶき!

 斉木久美子「かげきしょうじょ!!」について書き記してから3ヶ月が過ぎた。

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 隔月刊の雑誌への連載なので、なかなか頻繁に新しい物語が読めるわけではないが、それでも2つばかり話数が重ねられた。

 これまでにも二人のヒロイン、さらさ奈良っちは陽と陰の対比として表されることが多かったように思う。いや、将来的には二人ともトップスターとして光り輝く存在になるはずだ。さらさは男役、奈良っちは娘役として。ただ、そのともにトップを目指す役どころとしても、二人の間にはやはり陽と陰の違いが歴然と存在している。殊更に、奈良っちの過去(集英社版コミックス第2巻参照)とそれらに起因する現在の性格に。そしてきらめく明るい存在、「はじめてのともだち」としてのさらさ奈良っちが惹かれていくのも、ここでは当然の流れなのだろう。

 そんな物語は今、天賦の才能を知るか知らずか発現し続けるもう一人のヒロインさらさの過去に関係するエピソードを語っている最中だ。
 華やかな歌舞伎、「助六」の舞台を織り交ぜながら、ここで語られた物語のメインになるのは、幼くして才能を示し始めているさらさと幼なじみの男の子だ。この二人は、陽と陰というよりも、むしろ光と闇の対比として描かれているようにも思える。幼なじみの男子にとっては、さらさは眩しい光のような存在であっただろう。さらにはさらさの出自として梨園との関係がありそうな上に、どうやらさらさの祖母もなにやら梨園との縁があったのではないだろうかということも匂わされている。
 しかし、この過去において、さらさにも「闇」の種子が存在していることが示された。それは後に、お前は(このままでは)トップスターにはなれないと宣告されることと合わせて、さらさ自身の闇として存在を大きくすることになるのかもしれない。

 過去が語られたことで、現在の物語の意味が深まってくる。これから先は、間違いなく二人のヒロインを始めとする少女たちの成長が描かれるはずで、その期待がますます高まるというものだ。

 次の物語は4月末! もちろん、今発売中の最新号も、夏の想い出の日々の物語が必見。

メロディ 2016年 04 月号 [雑誌]

メロディ 2016年 04 月号 [雑誌]



 映画「秘密」のスティルも載っていて、いろいろと複雑な気分ではあありますがね……。