逢うは別れの始めなり

少し前のことだが、地元を歩いていたら学生時代の友人と出会った。
その人物とは、これまでも地元を歩いているとひょっこりと出会うことが何度かあった。なぜならその人物も同じ地元で暮らしていたからだ。

しかしその人物はこれから引っ越しで忙しくなるという話を口にした。つまりそれ以降は、地元で出会うことは限りなく偶然に近いことになるということだ。
なんでもその人物の家族が倒れ、介護が必要になったために実家に移るということらしい。その時聞いた実家の所在地はそう遠くはないところだった。とはいえ、やはりそれまでのように出会う頻度がそこそこある、という状態ではなくなる。

つまり日常に組み込まれていたものが少し変容するということだ。日常はくりかえしくりかえし積み重なっては行くものだが、そこに変容が発生するということだ。
日常から消えていくこと、喪失感。だがそれは日常を過ごす中で、不可避とはけっして言えないこと。

出逢えばいつかは別れもやってくる。そういうものだ。そうして自分を納得させる。
もしかすると、いつの日か予期せぬ再会という事態だって、可能性はゼロではないのだから。



逢うは別れのハジメなり[LPレコード 12inch]

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