*[etc]ほんとうは触

だって蝕むのだから。
だから日蝕。

2012年5月21日、金環日蝕の日。
久しぶりの大きな天体イベント。前の部分日蝕の時、東京は雲に覆われてしまい、ほんの一瞬しか欠けた太陽の姿を見ることはできなかった。皇居近くで信号待ちのほんの一瞬にしか。だからカメラを持ち歩いていたのに活躍するまもなくすべては終わった。個人的には。
なによりも気がかりなのは当日の天気。なにせ前回が雲に邪魔されただけによけいに気になる。時期的には梅雨入りはまだしていないはずではあるものの、周期的に天気が変わるであろうあたり。曇天や雨天ということになる可能性はそれなりにあるはずだから。
週間天気予報の発表される一週間前からは、それなりに気になっていた。予報を信じるなら、一週間先の内容などがらりと変わることを経験則として知ってはいても、それでも信じるなら、なんとか望みはつながりそうな気配を漂わせていた。直前の土曜日の抜けるような青空の天気、これが当日まで持ち越せないものかと祈ったりもした。

そして当日。
前夜の予報では火曜日の気圧の谷来襲にむかい緩やかに下り坂の天候ながらも、朝方は晴れ間もありそうなものになっていた。早めに目覚め、外の様子をうかがうと朝日が射している様子。
となれば臨まざるを得ない。向かうは東側が開けたところ。小さな公園にもなっているので、それなりの時間居続けても身体的負担の少なさそうなところだ。
到着したのは、すでにある程度太陽が欠けていっている頃合い。そこには同じ目的の人々が十数人ほど空を見上げていた。三脚にカメラを据えた人の姿もある。そんなところで小型犬をつれた老齢のご婦人と並び、来る瞬間を待ちかまえた。
空に雲は出ているものの太陽の姿は見えている。この状態が悪化しないことを祈るのみ。NDフィルタは入手しなかったので、レンズの最小絞りF22と、最高のシャッター速度1/4000秒にかけるしかない。
雲の動きは気まぐれで、時折かかったり外れたりを繰り返している。そんな中、マニュアル・フォーカスに変えて、雲を目安にピントを合わせておく。次第に雲の存在感が増してくるが逆によい減光材料になってくれるかもしれない。
欠けかたは刻々と増していく。思ったよりも劇的に暗くなっていくわけではない。しかし気温は下がっているようにも感じられる。木漏れ日は残念ながら周囲にはなさげだったので、頭上の太陽だけに挑むことにし、時計の針の進み具合を何度も確かめる。

始まった。

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厚くはない雲の中にあったが、やはりそれが逆に良い具合に作用してくれていた。
周囲からも何度も感嘆の声が伝わってくる。数分間の奇跡のような出来事。

この日を迎えることができたことに感謝を。