*[movie]「うちの甥っ子がね」

ロサンジェルス市警察殺人課のコロンボ警部補の口癖といえば、真っ先に思い浮かぶのは「うちのカミさんがね」だろうか。
そして次いでは「あとひとつだけ……」となるのだろうか。世間的には。

昨年の暮れから、ぽつりぽつりと『刑事コロンボ』シリーズのDVDをレンタルして見つづけていた。いわゆる「旧シリーズ」の分をだ。
昨年、ピーター・フォークが亡くなり、『ミステリマガジン』で追悼特集が組まれた際、多くの寄稿者がベスト・エピソードとして「2枚のドガの絵」を挙げていたのが気になり、その後もしばらく悶々としていつづけてたのだが、レンタルの棚に並んでいるのを目にして、一気に通して見てみようと決意するにいたったものだった。

もともと『刑事コロンボ』のシリーズは、犯人と犯行の状況を先に提示してしまう「倒叙物」というミステリーの中では異質な形式を取っているのだが、その中でもシリーズ初期に制作された「2枚のドガの絵」は最後に犯人を追い詰めるためのトリックが視聴者の意表をもつく凝った作りのものだ。

そんなことで、ずっと折を見て鑑賞し続けていたが、ようやく旧シリーズの最後まで到達した。そして振り返ってみると、はじめは何本か見逃しているのがあるだろうと予測していたのが、実はどれも一度は見ていたということがわかった。
NHKでの放送、そして日テレでやっていた頃のいずれかで、どのストーリーも一度は触れていたようだ。

そして案外と、「うちの甥っ子がね」というきっかけで犯人に接触している機会があることにも気付いた。
他にも改めて見直していると気付くこともあり、なかなかに面白く見つづけていた。

そして今、思っているわけだ。DVD-BOXを買っておくべきだった、と。